自身が所属するバンドのツアーで日本中を回っているTA-1さん。そんな彼がその先々のスーパーやホームセンターなどで、見つけて履いているのは、"ちょっとイナタイ"スニーカーたち。他人と被らないのはわかるけど、実際どこに魅かれているのだろうか。
photo:Hideto Aida text:Nobuaki "Tommy" Tominaga
「その場所に行って出会うからこそ、面白いと感じるんでしょうね」
東京を中心に全国各地で精力的にライヴ活動を行うTA-1さん。そんな彼のSNSにチョイチョイ現れる見慣れないスニーカーが、なんともフレッシュだと一部の間で話題となっている。「ツアー中にお土産を買うために、地元のスーパーに寄ると洋服なんかも置いてあったりするじゃないですか。しかもそこにはファッションセンターしまむらよりもインディーなものが売っていたりして……。そこで変なスニーカーがあるなあって見つけた際に、そういえば友達がこういうの履いてたなあって気になり始めちゃって……(笑)」と出会いのキッカケを語る。
最近のスニーカーシーンでは、こういったおじいちゃんが履くようなモデルが、”dad shoes”という呼び名でブレイクの兆しなのだと伝えると、「そうなんですね。最初は他に履いている人がいなかったし、カウンターカルチャー的な意味合いで履き始めたんですが、これがまたライヴでも履きやすいんですよ、足に優しくて(笑)。難点を挙げるなら、ライヴで10回も履くとすぐにぶっ壊れるところくらいで(苦笑)。でもそれがまたいいんですよ、安くて普通に買い足せるし。結局こういうのって、自分が面白いと思えればそれでOKじゃないですか?」。まさに洋服とはそうやって楽しむものである。
彼の自己分析によると、若いころとは嗅覚が変わったというのも大きい。「20代の自分が見たら、全然良さがわからなかったと思いますからね(笑)。このinnovationのデザインだって、ツアーでその場所に行って、そこで出会うからこそ、面白いと感じるんでしょうし。トレンドを追うんじゃなくて、自分自身がどうしたいのかを考える。そんなキッカケにもなっているような気がします」。話の中で感じたのは、現れては消費されて消えていくという流行のスパイラルから脱却し、自分の価値観を貫く確固たる姿勢。それはKONCOSが生み出す音楽にも共通するものだろう。こうして今日もまた旅の空の下、まだ見ぬインディースニーカーとの出会いを求め、彼は日本各地のスーパーやホームセンターを訪ねるだろう。
最近のTA-1さんが愛用する5モデルがこちら。写真左から、new balance “990”、innovation “紳士マジックシューズアソート”、CONVERSE “ALL STAR J HI”、メンズカインドシューズ ” KINGSTON”、足の友 ” ウォーキングシューズ”(すべて本人私物)