photo:Asato Iida illustration:Aimi Odawara
war p(以下、W ) 改めてブランド誕生の経緯を教えてください。
タイラー(以下、T ) もともと別のブランドに勤めていたメンバーたちが集まり、小さな建物の地下(※1)を事務所代わりにしてスタートしたんです。そもそも、ソックスは誰も光を当てようとしていなかった。それでも、他のアパレルに比べても、スポーツやアート、音楽などのカテゴリーの垣根を越えてプロダクトを提案ができる。僕らはそこに相当な可能性を感じたので、ソックスブランドとして歩んでいくことを決めました。ここアメリカのサンクレメンテで生まれたということにもあるように、最初は、自分たちが好きなサーフィン、スケートボードなど等身大のカテゴリーでソックス作りを始めました。ブランドのポリシーとして、"デザインが優れたモノを高いクオリティで作る"ということを掲げ、新しいソックスを作ってはそれぞれの人脈を活かして周りの友人に実際に履いてもらい、意見をもらいながら改良を続けていきましたね。その後、少し広いオフィス(※2 )に移動したのちに今のヘッドクオーターを構え、2015年にはNYのソーホーに1号店をオープンしました。(※3)。
W 今ではスポーツ、音楽、アートなど幅広いカテゴリーに提案するプロダクトを作っていますよね。
T そうですね。着実にカテゴリーを開拓しているところです。今では、バスケットボールのNBA 、野球のMLBと公式に提携をして、全選手が着用してくれるようになっています。音楽のシーンでもリアーナをアンバサダーに迎え入れたりと、それぞれのカテゴリーの最前戦に提案できるようになっていますね。アートにおいては、アーティストと蜜に繋がっているスタッフも多く、その関係性を活かして注目アーティストと一緒にソックス作りもしています。
W 新しいカテゴリーへ進出する際の障害などはあるんでしょうか。
T サーフィンやスケートボードなどの限られたカテゴリーでスタートしたブランドなので、新しいカテゴリーを取り入れようと思うと、内部の人間だけでは限界があるんです。そこで、その道のプロフェッショナルをブランドに招き入れるんです。そのカテゴリーに精通していてなおかつ経験を積んでいる人物ですね。その人物を見つける作業というのが結構大変なのですが、適任者と組むことでブランドが持つアイデンティティの可能性がより広がり、カテゴリーの最前戦でブランドの提案をすることができると感じていますね。
W 今後ブランドとして目指していくところはどこですか?
T 基本的には、ポリシーであるデザイン性や品質というのは高い次元で提案していくというのは変わらず必要なことですね。様々なカテゴリーを開拓するというのにもひとつの信念と繋がっていて、"デニムだったら「Levi's®」"、"サングラスなら「Ray-Ban」"というように、"ソックスなら「STANCE」"とみんなに認知してもらうブランドになるのが最大の目標なんです。まだ新しいブランドなので、ブランドの持つ"ストーリー"をもっといろんな人へ伝えていく必要があるなと感じていますね。
※1_この建物の地下でソックスブランドとして産声を上げた
※2_軌道に乗り始めた時期に2番目のオフィスへ移転した
※3_今の本社(ヘッドクウォーター)に残るショップ1号店の原型デザイン
1_エントランスの壁一面に飾られたアートワーク。ドローイングアーティストのラス・ポープなど、西海岸ならではのアーティストの作品が並ぶ 2_壁一面に描かれたローズ・アシュトンのインパクトある作品 3_ジェイソン・ジェシーらしい、バイクと「Converse」を融合した力強いアートワーク
4_ラス・ポープの作品はSTANCEスタッフみんなのお気に入り 5_ブランドスタート当初から親交のあるマーク・オブロウの作品が階段の壁を埋め尽くす 6_ブランドの専属フォトグラファーであるクアンの遊び心溢れる写真の数々
1_イタリア製の製編機を10台近く設備。スポーツカテゴリーにも進出する本ブランドだけに設備投資も大事な要素のひとつだとか 2_生地からテストや改良が行われ、常に品質の向上が可能となる
3_ものの10分でソックスの原型が完成するという驚きのスピード感だ 4_ラボ内には様々なテスト用機材が置かれ、見るだけでもテンションが上がる室内 5_ほぼ自動で行われるため、人手が掛からない利点もある
1_天井の高い快適なデスク空間。就業時間は、特別決まりがなくそれぞれが抱える仕事を自分のペースで進めていくのだとか 2_オフィス内に壁などの仕切りもなくキッチンスペースが現れる 3_この日のランチメニュー。基本的には野菜が中心の献立。もちろんこれらも無料で味わえる 4_ソックスだけではなくアンダーウエアにも参入したSTANCE。そのデザインを担うアラン
5_食事スペースの隣には卓球台が配備。この日も食事後にさっそくゲームをスタートする人の姿が 6_コミュニケーションを取る人たちの姿があちらこちらで見ることができる 7_広い体育館がオフィス内にあるのも驚き。社内でバスケットの大会を開催したりイベントを催したりもするのだとか 8_夕方ころになると、体育館に併設したジムにはトレーニングをする人たちの姿がチラホラ
1_バスケット部門のライセンスディレクターのビージェー。彼自身もプロとして活躍していた経歴を持つ 2_同じくライセンスディレクターのティー。NBAの公式ソックスとしてブランドを飛躍させた人物だ
取材当日、たまたま本社を訪れていたスコッティに遭遇。プロサーファーとして、またファミリーで構成するクルー"CYCLE ZOMBIES"の一員として、西海岸を代表するスタイルアイコンとして注目を浴びる人物だ。彼も「STANCE」立ち上げ当初からブランドと親密な関係のある人物。「俺にとっては、STANCEはファミリーだね。昔から知っている連中だし、ずっとサポートもしてくれている。家には大量のソックスがあるんだけど、それをまとめてる山の中から適当につかんだ2足を履くなんてこともあるんだ(笑)。履きやすさだったりデザインだったりが自分にぴったりだから、今や欠かせないプロダクトのひとつなんだね」。
▼詳しくは、
カスタムプロデュース
☎0800・800・2380
stance-jp.com