Life Between the Exit Signs 02:Escape tonight?
LAをベースに活動するフォトグラファー、飯田麻人が送るフォトダイアリー。世界から注目されるクリエイターから、まだ世にはあまり出ていない新鋭クリエイターまで。彼だから覗ける、LAのリアルな"日常と遊び"の記録。photo:Asato Iida
「What you up」。夜11時ごろ、このテキストが「BRAIN DEAD」のディレクターであるカイルから届くときは、だいたいエスケープルームに行かないかっていう誘いだ。エスケープルームは、もともと日本で生まれた遊びで、日本では脱出ゲームなどと呼ばれている。各テーマに沿った内容の部屋に6人1組のチームで閉じ込められ、その部屋から謎を解きながら脱出するという遊びだ。例えば、殺人事件があった後の部屋に閉じ込められ、探偵グループとして誰がどのようにして犯行を行ったかなど、パズルや書き残されたメモを探し、それらを基に鍵を開けて次の部屋へ、といった具合に脱出していく。カイルに連れられるようになってから、気がつけば20~30のエスケープルームを脱出してきた。僕が一緒にそこへ行く仲間は、「BRAIN DEAD」のカイル、「OBEY」のスティーブを中心によく遊ぶ仲間たちで、普段はみんなデザインや音楽関連の仕事をしているのだが、夜な夜な集まってはエスケープルームに行くのが僕らの夜遊びのひとつだ。ビデオゲームとは違う、実体験を味わえるこの遊びはいつも使っている脳と別の箇所を刺激してくるので、僕らは完全にエスケープ中毒となってしまった。だいたいカイルの家で集まって、彼の持っている楽器やターンテーブルをいじり倒した後や、みんなでディナーへ行った後、「この後どうする?」、「エスケープ?」という流れ。飼い主から「散歩行くぞ」と言われた途端に尻尾を振り出す犬のようなリアクションをしてしまうのが、エスケープ中毒者の見分け方だ。LA中におよそ50箇所くらいあるエスケープルームはかなりナードなアクティビティだが、最近は脱出していない部屋を探すほうが大変なほどである。素晴らしい建築技術、テクノロージーを持ち合わせた日本のエスケープルームがいつかLAにできるのを心待ちにしつつ、今日もまたエスケープルームへ向かうことにする。