地球46億年の歴史の中で、約4億年前に微生物の進化とともに誕生した土壌。土壌ができあがったことにより酸素を必要とする生物はぐんぐんと進化し、人類誕生まで辿りつきました。私たちが土の上に二本の足で立ち上がったときから、人類は文化を育み、今の私たちの生活があります。よって土は人類の生命の源と言える。
 
 
その「土」に惹きつけられ、土壌微生物農学博士の金澤晋二郎氏は、約60年もの月日をかけ土壌微生物の研究に従事してきた。博士はこれまでに東京大学での講師を経て、鹿児島大学の助教授、九州大学の教授を努めながら、日本や世界にてさまざまな状況に置かれた土壌の調査と研究に専念。企業との共同研究ではサントリー「天然水の森」の研究員なども行い、「研究は役にたってこそ意味がある」をスローガンに現場主義を貫き、いくつもの解決策を見出してきた。同時に「金澤バイオ研究所」を立ち上げ、研究成果を形にしたオーガニック肥料「土の薬膳」及び、バイオソイルの開発と制作に今も力を注いでいる。
 
 現在、私たちの地球では温暖化による生態系の破壊、農薬使用による生物多様性の減少、自然災害、また人々の間で体調不良や精神的なストレスによる免疫疾患など、現代社会にはさまざまな問題が勃発しています。自然と人間が調和した暮らしへの需要が高まる中、野生的なアクティビティや農業への思いは年々高まり、自然循環による肥沃な土と、その環境を作る土壌微生物の価値が広く見直されている。
 
『「土」の本』では、土壌研究の第一人者である金澤晋二郎博士が研究してきた事実を元に、土壌の歴史や土壌微生物の話、日本と世界の「土」について。さらに、コンポストのことやバイオソイルを使用した茶畑や宇宙農業についてなど、さまざまな角度から「土」について綴られています。「土」に興味を持っている人にはためになる、これから「土」を知りたいという人たちにとっては入り口となる一冊に仕上がっている。
 
 
『「土」を知ることは、より良いみんなの未来へとつながる。
なぜなら、私たちは、土から生まれて、いつか土へ還るのだから』
(『「土』の本』より)
 
 
【「土」の本 もくじ】
第一章 「土」の誕生と微生物
第二章 世界の「土」と、日本の「土」
第三章 「森」は生命の源
第四章 「土」の薬膳
第五章 土壌研究と緑茶栽培
第六章 「土」に還すコンポストの可能性
第七章 物質循環、分解のその先へ
第八章 宇宙農業の可能性