The Choice is Yours
ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。
Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno
ウエアよりも道具の側面が強いシューズやバッグは、使い勝手ももちろん大切だ。だけど、そこに美学や思い出を込めるとそんな実用品は替えの効かない唯一無二の存在となる。センスの良いあの人たちの心が弾むのは、どんなアイテムに触れたときなのか。納得や共感とフレッシュな驚きで満ちた彼らの”選択”に誰よりクールな彼らの偏愛と情熱を見る。
Photo:Kengo Shimizu text:Rui Konno
「今回のお話をいただいて、自分の核をなしているようなアイテムって何だろう?って改めて考えてました」。その答えとして中田さんがピックアップしたのが、「NIKE」のヴィンテージスニーカー”TEAM CONVENTION”と、「L.L.Bean」の少し変わったトートバッグ。「中学2年で赤耳のLevi’s®を買って以来、インポートショップや古着屋に通い続けて、お洒落な友達と自慢し合えるようなものはないかと探すようになったんです。多分、40歳になった今でもそのころの憧れが捨てられないんでしょうね(笑)」。”TEAM CONVENTION”は当時8万円以上で取引されることもザラで、現在まで1度も復刻されていないレアモデル。当然高校生の自分には買えず、ただただ店頭のディスプレイを眺めては憧れを強めていたそう。中田さんが育った宇都宮は、そのころからアメカジや古着がホットだったエリア。そこで暮らす高校1年生だった彼の理想のコーディネートはといえば、「ColumbiaのフィッシングベストにGramicciのショーツ、足下はラグソックスにBIRKENSTOCKの”ARIZONA”。それで、バッグはL.L.Beanでした」。ここで挙げているのは数年前に中田さんが企画した「BEAMS」の別注品で、配色とボトムのバランスがアレンジポイントだ。「自分が憧れていたものの、新しい扉を開けたかった」と彼は言う。「王道好きでミーハー、でもみんなと同じじゃつまらないという天邪鬼な僕にとってこういうアイテムが1番パーソナルな部分かなと思っています。きっと今も昔も、本物をわかってる人に、あれ?どこか違くない?って言われたいんでしょうね」。そう自嘲気味に話す彼の笑顔は、きっと25年前と何も変わってはいないのだろう。
「NIKE」のヴィンテージスニーカー “TEAM CONVENTION”
’80年代のバッシュを語る上で外せない名作。中田さんはこの赤と青の2足を所有。ちなみに左に覗いているのは”LD-1000″。「その当時に履いていたら間違いなくヒーローでしたね(笑)」
「L.L.Bean × BEAMS」のキャンバストートバッグ
ボトムの切り替えがボディの中腹にまで伸びた独特のバランスが面白い。「本国の工場まで資料を持参しプレゼンして、ようやく実現できました。工場泣かせなアイテムになってしまいましたが……」
Profile:1977年生まれ、栃木県出身。10代でヴィンテージに傾倒し、大学在学中の販売員のバイトなどを経て、2000年に「BEAMS」へ入社。現在はディレクターとしてメンズカジュアル部門を取り仕切る。
※本ページは『warp MAGAZINE JAPAN』2018年4号に掲載された情報を再編集したものです。