メディアがスニーカーを語る上で、ひとつの切り口となっている"コラボレーション"。インラインモデルにはない魅力とその楽しみ方を知るべく、日本を代表するスニーカー人として知られる「mita sneakers 」の国井さんを訪ねた。
photo:Hideto Aida text:Nobuaki "Tommy" Tominaga
「自由に履きこなしている人を見て、インスパイアされることもあります」
「mita sneakers」のクリエイティブディレクターを務める国井さんが、スニーカー史に残るコラボ作や別注モデルの数々を生み出してきたのは周知のとおり。ゆえにコラボの話も引く手あまたのように思われるけど、その実現にはひとつの条件がある。「人気ブランドからのオファーだからって一緒にやるってことはありませんね。まず考えるのは、そのタイミングでともに”作る意義”があるかどうか。僕らは小売り業なので各ブランドが作るインラインモデルを売るのがメインの仕事。あくまでコラボレーションはそれを売るためのフックという想いは常に持っています」。
しかしながら、いざ完成し「mita sneakers」とのコラボレーションアイテムが発売となれば前日から列をなすほど話題となり、市場では高値で取引されることも。そういったコラボスニーカーを取り巻く現状について伺ってみると、「スニーカーの魅力を360度として考えたときに、それはほんの一部のアングルでしかないと個人的に思っています。レアやプレミアという視点を否定する訳ではないけど、数ある魅力のひとつでしかないんですよね」。裏を返せばプレミア付きのコラボモデルという枠に捉われない柔軟な付き合い方こそが大切ということだろう。
さらにコラボスニーカーの楽しみ方へと話題は続く。「世の中には僕らが作り上げたモノをファッショナブルに履きこなしてくれる人がごまんといるから、楽しみ方はみなさんひとりひとりに委ねています。コラボモデルをリリースすると誰も想像しないくらい自由に履きこなしている人たちも現れたりして、僕らがさらにそれを見てインスパイアされることもありますし」。過去にバスケットボール用として開発されたモデルをスケーターたちが支持したように、本来の意図とは異なるものかもしれないが、ユーザーの感性で新たなカルチャーが形成されることもある。コラボレーションのコンセプトを咀嚼し、それぞれの価値観に共鳴した自由なチョイスで履いてこそ、その真価が発揮され足下で輝きを放つのではないだろうか。
国井さんが最近手掛けた中から、思い入れの強い3モデルを抜粋。