MC:村上さんが今回のコラボレーションモデルウォッチを身につけているのを初めて見て、どんなお気持ちですか?
また、このようにお花が回転する時計というのは、今までに見たことがないのですが、技術的にも完成まで大変だったのではないでしょうか?
グアダルーペ:よく似合っています。ウブロの時計でもあり「村上ウォッチ」でもあり、二つの融合ですね。
いつもウブロではユニークなもの、初めてのものを作りたいと考えています。今回の商品は村上さんの花モチーフにインスパイアされた商品となりますので「生きたもの」にしたいと思いました。「ボールベアリングシステム」により花びらだけが回るようにしました。真ん中の花自体はサファイアガラスに入れることで、立体的な表現が可能になりました。芸術作品になっていると思います。
MC:村上さんは今回なぜ、ウブロとコラボ―ションしようと思ったのでしょうか?
村上隆氏:一番の決め手は、実際にスイスにあるウブロの工場を訪問したことです。素晴らしいクオリティのマニュファクチュール、自動化・コンピューター化された機械、そして大勢の職人達を目の当たりにした時は夢が実現したかと思いましたね。ウブロの工場は想像を超えていました。人生の中でも素晴らしい経験となりました。
MC:スイスでは何が一番思い出深いですか?
村上隆氏:ランチでしょうか(笑)。とてもよかったです!ウブロのワイン農園で作られたワインも素敵でした。ウブロはすべての事を最高の品質で作りたいと思っているということを本当に感じました。ランチは工場内で頂いたのですが、すべてがきちんと高い品質で提供されているというのは他ではできない経験だったと思います。
MC:ウブロは、なぜ村上さんとコラボレーションをしようと思ったのですか?
グアダルーペ:ウブロはもともと「HUBLOT LOVES ART」というフレーズもあるように、アートとのつながりを大切にしてきたブランドです。ブランドとして、村上隆さんというアイコニックで非常に才能のある芸術家とのコラボレーションは、とてもすばらしい体験になるだろうと思ったからです。
MC:村上さんはその他に、ウブロとコラボレーションをしてみようと思った理由はありますか?
村上隆氏:随分前から複雑な腕時計の世界というものに興味を持っていました。僕の古くからの友人に時計職人がいまして、彼のSNSを見ているうちに腕時計の世界がどれだけ面白いものか気になっていたんですね。そしてウブロとのお話がきた際に「本当の時計の世界に入っていける!」と大きなモチベーションとなったからです。
MC:今回のプロジェクトを進む上で大変なことはありましたか?
村上隆氏:大変なことはゼロで、何もかもに興奮しました。僕は仕事をする際パートナーに扱いづらく、気難しいと思われがちなんですが、今回のコラボレーションはスムーズでした。このようなことは初めてです!
【質疑応答】
Q.今回、村上隆さんは日本人アーティスト初となるコラボレーションとなりましたが時計の出来上がりを見ていかがですか?
村上隆氏:立体的な彫刻がユニークですよね。非常にわかりやすい形で時計とアートのコラボレーションとなりました。打ち合わせは半日で終わったのですが、ウブロが深く理解してくれて、ここまで作ってくれました。コラボする相手で随分変わりますが、
ウブロはクリエイティブです。出来上がりを見てこんなに興奮することは稀です。
Q.ウブロとのコラボレーションを決めた理由を教えてください。
村上隆氏:15年ほど前、雑誌「ブルータス」がスイスのウォッチフェアを取材するのに5日間同行した際、ウブロの時計を見させていただきました。その時の時計がラバーベルトで、新しい素材を使っており、強いコンプリケーションのウォッチブランドで勢いがあると感じられました。また、スイスでのディナーパーティーに招待してもらったのですが、他のブランドに比べてもウブロは印象深かったです。ウブロの最初の印象はスポーティーでありつつハイラグジュアリー。高級ウォッチブランドとしてすごくアイコニックで、個人的にも盛り上がっているブランドだという印象からです。
Q.村上さんにとって時間とは?
村上隆氏:僕は毎日時間について考えています。自分の死後の世界についても思いを馳せます。ピカソ、クロード・モネ、ヴァンゴッホ、アンディ・ウォーホルも既に亡くなっていますが、彼らの作品は今も見ることができます。芸術作品は100年以上の長期にわたって皆が見るものです。いずれ僕が死んでも僕の作品は残ります。その作品が然るべき場所で展示されて評価される、もしくは評価されない状況に陥るわけです。生きている間は口八丁手八丁説明して誤魔化せるかもしれません。ですが死んだ後は そうはいきません。コラボレーション一つでも、最低でも100年200年は歴史に残るものです。そういった意味でも、私にとって時間は「未来」。今よりも少なくとも5〜10年後が最低のスパンで、いつもマインドセットは50年で考えています。
Q.この時計をどのようなシーンで身につけて欲しいですか?
村上隆氏:この時計はオールブラックですが、とても目立つと思います。パーティーでも良いですし、ZOOMの飲み会でも良いですし、とにかく目立たせて是非自慢してほしいです。
Q.村上さんの普段のデザインはカラフルなものが印象的ですが今回黒にした理由をお聞かせください。
村上隆氏:いつもコラボレーションの際には、僕の要望を正直に伝えます。先ほど申し上げた15年前にウブロに招待いただいた際に、真っ黒なラバーベルトのプレゼンテーションを受けたんです。その時の記憶から、ウブロというと黒のイメージでしたので、オールブラックというのを提案しました。ウブロとのファーストインプレッションを表現できたので非常によかったと思っています。 次回のコラボレーションがあるとしたら、それには色がつくのかもしれませんね!
Q.この時計に愛称をつけるなら何とつけますか?
村上氏:僕はヒップホップアーティストや日本のYouTuberに好かれがちなんです(笑)。社会から逸脱し成功や失敗、叩き叩かれを繰り返すヒリヒリした中で価値を高め合う点では、僕らアーティストと共通する部分があります。なので、「ヒップホップウォッチ」ですかね。