LIFESTYLE
元Jリーガーでありながら、現在はスペインのバルセロナに移住しアパレルブランド「BUENA VISTA」と、うどん屋「宵宵祇園」を営む石塚啓次氏。彼の日課でもあるバルで酒を飲みながら、愛するサッカーについて今、率直に感じるアレコレを思いのままボヤく連載。
Theme『一発勝負』
毎年、スペインで子どものクリスマス会を見ながら思うことがあるんやけど、スペインは、日本の子どもたちの出し物と比べると、かなりクオリティが低いわ。日本の学校なら、本番までに個人が何回も練習して全体練習も何回もする。誰もが目をつぶってもやれるくらいの準備をしてるから、当日大勢の保護者の前でも問題なくできてるけど、スペインでは練習はしてるけど日本ほど全然してなくて、しかも会場での全体練習はその日の本番直前の一瞬……。だから子どもによってはできてる子とできてない子の差が激しいし、少し全体的にグズグズ。
こういう出し物ってサッカーと似ている部分があって、その日がどんな舞台(グランド)、お客(相手)、体調(天候)。すべての条件はほぼそのときにならなければわからへんし、そういう中での一発勝負やし。小さなころからこういうライヴ感で生きているスペイン人は、常に小さな問題をたくさん抱えながらやってるから、そのときそのときで自ら対処、修正しながらやり続けられるんやな。
一方、日本人はすべて準備できているけど、本番に少し練習と違う問題が起きたときに自ら対処する修正能力が低いし、経験も少なくて対応できなくなることが多いと思うわ。
サッカーなんかは特に、常にまったく情報のない相手との駆け引きのスポーツなので、常にそのときそのときに多くの問題を抱えながら自ら対処、修正しながらやるスポーツなのでなおさらその能力は必要。
あと、スペインではサッカーの練習時間は本当に短く、夏休みとかも約2カ月あってボールは一切触らずバカンスしろと言われてる。長い時間集中できないという国民性もあるけど、スペイン人はオン・オフの切り替えや短時間の集中力はすごいと思うわ。
練習も小さいころから常に頭を使いながらやるから体も頭も疲れる。日本みたいに長い時間、頭使わず体だけ使うような練習はしない。
この一発勝負の強さと慣れ(経験)の差が勝敗に関係してそうやな? どっちがエエかは知らんけど、サッカーに関してはスペインのほうがエエと思うわ!
―本日のアテ― 缶詰のアレンジ料理
「スペインでボデガ(酒屋で飲めるところ)でよくあるのが、缶詰を組み合わせて少し手を加えた一品。缶詰って聞いて安くて質も良くないと思われるけど、スペイン(ポルトガルも)の缶詰は最高に美味しいし決して安い物でもないわ。」
リバーシブルメッシュジャケット&ショーツ
スポーツウエアライン「BUENA VISTA DEPORTE」からメッシュ素材のリバーシブルジャケットと同柄のショーツがリリース。”VACACIONES(スペイン語で休暇)”をテーマに、夕日の浮かぶ海辺を昇華プリントとシンプルなロゴで表現した。BUENA VISTA DEPORTEのジャケット 1万8000円、ショーツ 1万2000円(ともにADONUST 03・5456・5821)
- 石塚啓次 profile
日本でプロサッカー選手として活躍したのち8年間アパレルブランドの代表を務める。現在は、スペインのバルセロナに移住し服屋とうどん屋を兼業。 Instagram:@keijiishizuka