In The Streets of Indonesia
インドネシアとスケートボード。僕らには想像がつかないこのシーンで起こっていること。知れば知るほど、このストリートカルチャー、とりわけスケートボード文化というものに固定概念や先入観が不要なものだと実感する。現地では今、一体何が起こっているのか。フォトグラファーのMIYU FUKADAが彼らを追った記録。
汗と熱気で蒸しあがる若者 天気だけじゃないインドネシアの”熱さ”
インドネシアで大人気のバンド、the SIGITのライヴの様子。写真からも伝わるように、髪の毛が汗で滴るほどの熱気。でも暑いのは会場の温度だけじゃなかった。以前誌面で紹介したスケーターのAbsarは、the SIGIT メインヴォーカルのRektiのアディショナルギターを務める。Absarの住むバンドゥンに到着したその夜に連れて行ってもらったライヴで撮影したのが、この1枚だ。
スキニージーンズやブーツカットに「COVERSE」、’70年代ファッションをまとった20代前半の若い男の子たち。熱狂、発狂し、ステージに押し寄せるファンのすさまじい熱量のおかげで、ステージ脇で写真を撮らせてもらっていた私の額にも汗がにじむほど。どの曲をプレイしても会場が大合唱、好きなものにかける情熱はスケートだけではなく音楽にも共通していた。ファンの勢いが強すぎて、スタッフが4、5人ステージ下に待機し、ステージ上のスピーカーや音響器具が壊れないようにガードしてたりと、一寸たりとも気を抜けない。
国内の政治や、システムに対する怒りやフラストレーションを音楽にぶつける若者。インドネシアがこれからどう変わり、どう変わらずにいくのか。この1枚の向こう側に多くの葛藤と今後への期待を勝手に感じた印象的な写真。