アイスホッケー、ダウンヒルスキー、そしてスノーボードクロスの要素を取り入れた競技「アイスクロス」。2001年にRed Bull Crashed Iceとしてスタートした競技は2010 年より世界選手権として開催した。そして20年目の節目となる今シーズン、ATSX主催の世界選手権としてその名称をRed Bull Ice Cross World Championshipに変えてスタートした 。世界選手権は規模と獲得ポイントでATSX 100、ATSX 250、ATSX500、ATSX 1000の4クラスに分かれ、ATSX 1000をレッドブルが主催。そして今シーズン初となるATSX 1000の大会を2月15日(土)に横浜で開催した。
高さ12メートル、最大斜度39.4度のスタートランプから飛び出す選手たち©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
臨港パークに1月22日(水)より造成開始して完成した⻑さ350メートル 、高低差22メートルの特設コース では、約7,000人の観客が見守る中、一瞬にして順位が入れ替わる数々の接戦が繰り広げられました。男子はキャメロン・ナーズ(アメリカ、30歳 )、 女子はマキシー・プランテ (カナダ、27歳)が優勝した。
体勢をギリギリ保ちながらコーナーを曲がるカイル・クロクソール(左)©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool
アイスクロス世界選手権の歴代ワールドチャンピオンの内、ATSX 1000 / Red Bull Ice Cross World Championship Yokohama 2020(通称:レッドブル・アイスクロス横浜)に出場 した選手は、2012年王者のカイル・クロクソール(カナダ、31歳 )、2014年王者のマルコ・ダラーゴ(オーストリア、29歳 )、2015年と2018年王者のスコット・クロクソール(カナダ、29歳、カイルの弟)そして2016年、2017年、2019年のチャンピオンで、前回の横浜大会でも優勝している キャメロン・ナーズです。マルコ・ダラーゴは準々決勝で同じく強豪選手で弟のルカ・ダラーゴ(オーストリア、28歳)そしてスコット・クロクソールと対戦。スタート直後の混戦でスコットに手で払いのけられた様にも見え兼ねない接触でレース冒頭に転倒し、巻き返すことが出来ずに敗退。そのスコットは準決勝で兄カイル、ルカ・ダラーゴと対戦。レース終盤まで 先行する兄と共に決勝進出かと思われたが、最終コーナー手前でルカに 追い越され、思わず手を出してしまった。それでバランスを崩したルカはコーナーを曲がり切れずに壁に激突。2番目にゴールした スコットでしたがその行為で失格となり敗退しました 。決勝戦 の顔ぶれは、若手有望株のミルコ・ラティ(フィンランド、23歳)、明るい人柄で人気者のスティーブン・コックス(カナダ、29歳)、風格漂う往年のチャンピオンのカイル 、そしてキャメロン・ナーズとなった。
足を投げ出すキャメロン・ナーズ(左)とカイル・クロクソール(右)©Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool
女子決勝は、2016年に世界選手権が始まって以来ワールドチャンピオンを二分しているアマンダ・トルンゾ(アメリカ、30歳)とジャクリーン・レジェール(カナダ、28歳) 、そしてマキシー・プランテ(カナダ、27歳)とジュニアながら決勝に勝ち進んだジャスティン・ゾンネ(ラトビア、18歳)でした。レースはマキシーがスタートダッシュを決めると歴代チャンピオンたちの追随を許さず、そのまま独走してゴールしました。2位争いは最後の直線からブリッジの登りの間にジャクリーンを追い越したアマンダ だが、ゴール手前のバンプでバランスを崩して転倒し、ジャクリーンが2位でゴールした。
スタートから独走してゴールするマキシー(手前)、最後のバンプでバランスを崩して倒れるアマンダ(右)、追い抜くジャクリーン(左) ©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
日本人はベテランの山本純子選手(会社員、37歳)、ジュニアとして参加した昨シーズンのATSX 1000最終戦 (ボストン大会)で3位表彰台、ATSX 500 モン・デュ・ラック(アメリカ)で優勝している山内斗真選手(大学生、22歳)、そして高校生の吉田安里沙選手(18歳)が決勝進出したが、残念ながらそれぞれ1回戦で敗退。
山内斗真選手©Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
大会後キャメロン・ナーズは「再び横浜で優勝できてとても気分が良いです。これまでアイスクロス・ワールドチャンピオンシップ は様々な 地域で 開催していますが、このようにアジアで開催されて、しかも 優勝を飾ることができてとても嬉しく思います。ATSX 1000はポイントが高く、 参加選手はポイント獲得の為にとても強い気持ちで来ています。また事前にそれぞれ しっかりとした準備をしているので、力の差が無くなっていると感じています」とコメント。初優勝を果たしたマキシー・プランテは「大会に出場してから今回で6シーズン目ですが、 これま では小さな大会でしか優勝したことがありませんでした。今回のような大きな大会で優勝出来て とてもうれしく思います」とコメントしている。山本純子選手は「2回目の母国開催に大勢のお客さんが来場し 、大会を盛り上げてくれたことを嬉しく思います。日本の若い選手も出てきており、年々アイスクロスという競技 が日本でも広まっていることを感じ、嬉しく思います」と語った。